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アジェナ (ロケット) : ウィキペディア日本語版
アジェナ (ロケット)

アジェナ(制式名: RM-81 Agena)はアメリカ合衆国ロケットである。打ち上げ用ロケット上段として、または人工衛星に組み込まれるサポートバスとして、長期間使用されてきた。元々はロッキード社がWS-117L偵察衛星計画のために開発したものである。WS-117L計画はキャンセルされ、セイモス衛星ミサイル観測システムコロナ高解像度光学偵察衛星、および早期警戒衛星の3つに分割された。これを受けて、アジェナはいくつかのプロジェクトのために組み込み機器(衛星の推進装置、兼電源ユニット)として使われた。そのプロジェクトの中には、コロナ計画、アジェナ標的機などがある。標的機は、ジェミニ計画ランデブー実行やドッキングの試験に大いに活用された。また、キャリア・ロケットの上段として、アジェナはアトラスソーソラドタイタン IIIBにも利用され、スペースシャトルアトラス Vの上段として活用する事も含めてさまざまな検討がなされた。1959年2月28日から1987年2月のアジェナD最終打ち上げまでに〔、総計365本のアジェナ・ロケットが打ち上げられた。いくつかの任務では、ペイロードはそのまま直接アジェナの上に組み立てられた。アジェナは電力、通信機能、三軸安定による姿勢制御機能をペイロードに供給する能力が有ったので、それを買われてのことだった。ペイロード・コンポーネントはアジェナの標準的な隔壁のすぐ上に位置していた。あるミッションにおいては、ペイロードはアジェナの内部に組み込まれず、そのかわり打ち上げ後に切り離されたものがある。これはアセント・アジェナ(''Ascent Agena'')として知られている。
アジェナは、複雑で更に高解像度なカメラを搭載するよう改良されたコロナ衛星のような、従前よりも重く精巧なペイロードを支援するため、原型であるアジェナA型から2回改良が施された。
アジェナの最終打ち上げは1987年2月12日、アジェナ-Dをの上段に用いた構成でのことだった。365機の全打ち上げはアメリカ航空宇宙局及びアメリカ空軍によって行われた〔http://www.designation-systems.net/dusrm/app1/rm-81.html〕。
== 特徴 ==
アジェナは直径が1.5メートル(5.0 feet)あり、三軸安定していた(偵察システムカメラの役に立つようにである)。搭載していた Bell 8096エンジンは、燃料に非対称ジメチルヒドラジン(UDMH)/酸化剤に抑制赤煙硝酸(IRFNA)の組み合わせを用いて71 キロニュートン(16,000 lbs.)の推力を有していた。この組み合わせはハイパーゴリック推進剤であり、故に点火システムを必要としなかった。このロケットエンジンは頻繁に行われる無線操作で、軌道上で何回にもわたって再着火することができた。エンジンはアルミニウム製であったことは特筆に値する。スロートとノズルを冷却するための再生冷却水管はまっすぐなであけられていた。エンジンは、コンベアB-58ハスラー爆撃機のキャンセルされたロケット推進核弾頭ポッドのために開発されたXLR-81推進システムから派生したものだった。1959年まで、アジェナはDiscoverer Vehicle もしくは Bell Hustlerとしても知られていた。アポロ計画有人月着陸船上昇段に使用されたエンジンはアジェナを忠実に模倣した。水平飛行するアジェナの姿勢制御は3つのジャイロスコープ、2つの水平線センサー、窒素-フロン混合物を噴き出すマイクロジェット、これら三種類の機器を制御する慣性誘導パッケージからもたらされた。ピッチング-ローリング制御は、2つの密封された積算ジャイロユニットで測られた。レート・ジャイロユニットは軌道上を進む速さを測ることでヨーエラーを測定した。ジャイロで測ったピッチングとローリングの誤差は水平線センサーで、後期版で追加された太陽トラッカーとスター・トラッカーでの測定も追加して修正された。これらのことは、アジェナに、改良されたコロナのカメラによって、より良い地上解像度の画像を得る為に必要な、高い照準安定性を与えることを可能にさせた〔。アジェナは、宇宙空間で地球を周回している間は一定の方向を向くよう設計されたので、静的な熱制御システムが搭載された〔。アジェナの電力の終供給源は酸化銀電池である。1960年代初頭からは、不足する電力は太陽電池で補われた。S-バンド・ビーコンが、アジェナに(画像のぶれを補償したり、姿勢を変更したり、等々の)地上命令シーケンスを受信させることを可能にした。一定の時間を経た後で実行するように、内蔵の記憶装置にストアすることすらも可能だった〔。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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